絵画 日本画

  • 鏑木清方  (1878-1972)
  • カブラキ、キヨカタ
  • 昭和12年 / 1937
  • 彩色・絹本・軸・1幅
  • 72.0×86.0
  • 右下に落款、印章

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鏑木清方

一幅
絹本著色
縦七二・〇 横八六・〇
昭和十二年(一九三七)
東京国立近代美術館

鏑木清方(一八七八−一九七二)ははじめ浮世絵画家の水野年方に学び、新聞、小説の挿絵画家として出発したが、のち本格的な日本画の制作にすすみ、大正三年、四年に連続して文展で二等賞を受賞した。また大正五年に
は平福百穂らと日本画の研究団体である金鈴社を結成している。主に官展で活躍し、昭和二年に帝国芸術院賞を受賞、四年に帝国美術院会員となり、二十九年に文化勲章を受章した。
浮世絵の伝統に学びながら、江戸を舞台とした歴史的風俗画や物語絵、そして肖像画を得意とした清方だが、とりわけ関東大震災以後は、復興に伴う急速な近代化によって庶民の生活が大きく変貌していく中で、明治の下町風俗を回想し、失われつつある人情味あふれた暮らしの情景をしばしば描いた。この作品は清方によれば、佃島から京橋界隈に鰯を売りに来た少年を措いたもので、画家の目が生活の細部にまで届いていることがわかる。(大谷)


鰯

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