木造不動明王及二童子像(不動堂安置)

彫刻 / 平安

  • 平安
  • 3躯
  • 重文指定年月日:19940628
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 金剛寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 高幡不動の名で知られる金剛寺不動堂の本尊として安置される三尊像で、丈六の不動明王坐像を中尊として、半丈六に近い二童子立像を左右に配している。
 不動明王像はカヤ材の寄木造【よせぎづくり】、頭体幹部を通して前後左右四材から彫出し、内刳【うちぐり】のうえ割首【わりくび】とする構造になる。光背の刻銘や像内に納入された銘札により、建武二年(一三三五)に大風による不動堂の倒壊に伴って破損したため、康永元年(一三四二)に脇侍像とともに修理が施されたことが知られる。現状では面相部や上体のほとんどにこのときの所為とみられる大幅な彫直しの手が加わっているが、髪の一部や右腕、両足部などには製作当初の堅実な造形が認められる。二童子像はいずれもホウとみられる材の寄木造で、共に頭体幹部を通して左右二材に背面材(後頭部を含む)を寄せた三材から造り、内刳りを施す。中尊像に較べて修理は小規模であったとみられ、その諧謔的な面貌、姿態に平安後期の特色が明瞭にうかがえる。その作風や材質からみてこの地での造像とみられるが、近世地誌類に『平治物語』や『吾妻鏡』に登場するこの地の豪族、平山季重【ひらやますえしげ】が本寺を再興したことを記すものがあり、本三尊像の造立にこうした在地武士が関わった可能性があろう。他に類例のない平安時代の丈六の不動三尊像として貴重な作例といえよう。なお中尊像の像内に納められていたおびただしい印仏類(書状の裏を用いて押印)が今回、古文書として重要文化財の指定を受けている。

木造不動明王及二童子像(不動堂安置)

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