継色紙は寸松庵色紙および升色紙とともに平安時代の三色紙と称される古筆切で、小野道風筆と伝えられたその筆跡は平安時代を代表する仮名として尊重されている。もとは『万葉集』『古今和歌集』等にみえる歌を収め、四季・恋等に部立てした撰集で、各種の色紙を用いて見開きの部分に書写した粘葉装冊子本であった。
本幅は料紙に白色の斐紙を用い、『古今和歌集』巻第六、冬歌に所収の紀貫之の一首
「むめのかの
ふりおく
ゆきにうつり
せは
たれかは
ゝなを
わきて
をらまし」
を向かって右葉に上句半首を四行、左葉に下句半首を四行、合わせて八行の散し書に書写している。保存は良好であるが、左右の料紙は中央で重ね継ぎされており、左右の葉の寸法に僅かな差異がある。本文は、流布本の『古今和歌集』所収歌に比べて「ふりおけるゆき」を「ふりおくゆき」、「まかひせは」を「うつりせは」、「たれかことこと」を「たれかはゝなを」を書くなどの異同があり、和歌文学史上にも注目される。料紙に余白を置き、草書体を交えた古体の仮名は、平安時代の仮名名跡の遺品として貴重である。