木造阿弥陀如来坐像 もくぞうあみだにょらいざぞう

彫刻 / 平安 / 近畿

  • 平安
  • 1躯
  • 重文指定年月日:19950615
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 円教寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 円教寺常行堂の本尊として祀られる丈六の定印阿弥陀如来像である。檜材を用いた寄木造で、頭体幹部は両耳後の線で矧合わせた前後二材よりなり、これに左肩外側部(地付まで前後二材)、両膝奥(各上下二段)、両足部(前半左右二材、後半一材)等を矧ぐ。表面を後補の漆箔に覆われるが、像容に大きな改変は認められず、保存状態は良好である。
 その作風は、円教寺からほど近い距離にあり、開山性空(?~一〇〇七)の隠棲場と伝えられる弥勒寺に伝存する、長保元年(九九九)銘の弥勒仏及両脇侍像の中尊像に酷似している。近年の調査の際に像内前面材の中央、胸腹部に月輪(仰蓮に載り、周縁に火焔を廻らす)中の光明を発する梵字(キリーク)と逆卍が上下に墨書され、また月輪横の左胸辺に造像時の願主もしくは結縁者とみられる人名が記されているのが見いだされた。そのうち、僧聖静、清原是信、僧叡慶の三名は弥勒寺像の銘にもみえ、また人名の筆頭に記される僧慶雲は、円教寺草創期に学頭として活躍したことが知られる人物である。
 寛弘二年(一〇〇五)「書写山往生院住僧安鎮謹言」(『延照記』所載)に記される、安鎮が自他の極楽往生のために造営した同院の本尊、阿弥陀丈六像が本像にあたるとみられ、その後数回の遷座を経て常行堂に移されるまでの経過は記録の上で大略辿ることができる。
 和様彫刻の完成の前段階であるこの時期における、造像事情があきらかな大作であり、また天喜元年(一〇五三)の京都・平等院阿弥陀如来像(国宝)を遡る、像内にいわゆる心月輪を籠める古例としても貴重である。

木造阿弥陀如来坐像

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