宗祖一遍上人の法灯を継ぎ時宗教団の基礎を固めた、二代他阿弥陀仏真教の等身大の坐像である。上人晩年の姿を表わしたもので、その大きな特徴である顔面のゆがみを入念にとらえた面貌は甚だ生彩に富んでいる。両足部のやや不自然な作りや衣褶を大胆に省いた表現には素朴なところがあるが、両袖を大きく拡げ膝奥を充分にとった姿には安定感がある。真教は文保三年(一三一九)に入滅しているが、本像はこれとあまり隔たらぬ頃の製作と考えられ、体幹部を四材製とし、像底を刳り残す手法などもこの頃のものとして矛盾はない。また頸部内に真教遺愛の品かと思われる持蓮華を納めていることも見逃せない。二祖上人像は少なくないが、ユニークな古例として注目される。