秋のたそがれ

油彩画 

国吉康雄 (1889-1953)
クニヨシ、ヤスオ
昭和4年/1929
油彩・キャンバス・額・1面
102.0×143.0
右下に署名、年記
個展 ニューヨーク、ダニエル画廊 1930

37
秋のたそがれ
Dusk in Autumn
1929年
油彩・麻布 102.0×143.0
国吉の名は、ニューヨーク近代美術館で開かれた「19人の現存アメリカ作家展」に選ばれて、ひろく知られるようになったが、「それまではすべて、過去の記憶と想像力だけで描いてきた。」画家自身は、ヨーロッパ旅行を機に、パリの画家たちが油絵具という媒体をよく理解し、対象から直接に描いていることに何かを感じとって、一つの転機に直面していた。おそらく、国吉は、マティエールを通して存在感、リアリティの表現の可能性を予感したらしく、その予感を契機にそれを自分なりに会得する過程としての第2期、現実の対象から直接に描くようになっていった。その過程で、主題は女性、静物、風景とひろがったが、いずれにしろ、自然に即した、いわゆるダプレ・ナチュールの方法とマティ工一ルとを存在表現にとって不可分の問題として感じとり、存在感、リアリティの実現を可能にするものとしてマティエールの意味を了解していった。帰米後、画室を設けたウッドストックの田園風景を描いたこの作品は、こうした模索を風景に試みた大作であり、したがってそこには、過渡的な特徴が見られる。俯瞰的な構成、刈り入れのすんだ畑や牛や家の形態把握に見る経験的な単純化は、「夢の時代」のプリミティヴなヴィジョンをとどめており、それが郷愁的な情緒をかもしてもいる。

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