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江釣子古墳群

えづりここふんぐん

概要

江釣子古墳群

えづりここふんぐん

古墳 / 東北 / 岩手県

岩手県

北上市江釣子・北鬼柳・和賀町長沼

指定年月日:19790910
管理団体名:

史跡名勝天然記念物

 北上川に注ぐ和賀川の北岸に営まれた古墳群である。古墳は3か所に分かれて群をなしている。東方の八幡地区に23基、中央の猫谷地地区に29基、西方の五条丸地区に81基の古墳の存在が確認されている。猫谷地地区については昭和26年早稲田大学が、五条丸地区については昭和37年東北大学および岩手大学が調査している。
 猫谷地地区の調査された5基は、横穴式石室を内部主体とする。奥壁に巨石をたて、側壁は河原石を小口積みし、羨道端を河原石で閉塞する。石室上に天井石を遺存していたのは1基のみである。最大の石室は全長3.55メートル、最小の石室は全長1.2メートルをはかる。いずれも小規模な石室であるが控積みが顕著であり、床面に河原石を据えて側壁の立石を安定させ併せて棺台とするなど特色ある技法が見られ、羨道の前面に石敷の前庭を設けるなど、横穴式石室に伴う構造の一端をよく示している。
 五条丸地区では、石室で調査されたのは31基、墳丘の形状が把握されたのは26基である。石室は、すべて横穴式石室であり、1基が4石室をもつ以外は、1墳1石室である。奥壁に巨石をたて、河原石を小口積みして側壁をつくり、羨門閉塞するのが一般であり、猫谷地地区でみられた側壁の立石例や床の棺台をもつ例は極めて少ない。石室は墳丘の中央に設けられ、全長5メートルに近いものから、1.5メートルという小さいものまであり、規模にかなりの大・小を見、また前庭を敷石する構造は稀であった。墳丘は円墳で、径4.5メートルから14メートル、周囲に幅1〜2メートルの湟をめぐらすが、羨道部の前には周湟をつくらず、墓道の存在を暗示している。
 副葬品にはかます[[切先]きつさき]太刀、[[蕨手刀]わらびでとう]、鉄鏃などの武具をはじめ、馬具・工具・装身具類、土器などが豊富に発見されている。
 石室や墳丘の規模、構造に特色があり、遺物の多様さも顕著であり、東北地方屈指の横穴式石室を伴う古墳群として重要なものである。

 和賀川北岸の河岸段丘上に築造された古墳群の中で、和賀町所在の長沼古墳群は、昭和54年9月4日指定の江釣子古墳群の西方4.5キロに位置する。昭和47年の発掘調査によって、本古墳群は江釣子古墳群と同時代・同性格のものであることが明らかとなったので、長沼古墳群13基を江釣子古墳群に追加して指定する。

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キーワード

石室 / 羨道 / 古墳 /

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