家族

絵画  素描 / 昭和以降 / 日本 

松本竣介 (1912-1948)
まつもとしゅんすけ
1937(昭和12)年
紙・鉛筆
27.5×23.5
額装

 リアリズム(写実主義)という言葉はさまざまな意味で用いられるが、松本竣介の場合、まず線描表現のもつ抽象性として結実している。美術学校で教わる初歩的な技術でも、単に対象に似せて描いた曖昧な気分でもない、視覚や感性をこえた根源的なリアリズムをこの画家は求めた。昭和十年後半に、竣介は油彩による家族像の大作「画家の像」を制作したが、ここに紹介する素描は同じ家族を対象にしながらも、油彩より自由な線描表現となっている。思想的な文脈でリアリズムというのであれば、太平洋戦争のただ中でも、なおたくましく生きる群像を描いた「画家の像」の方がリアルだが、昭和初期の前衛芸術に影響を受けながら、自然な芸術家の魂の発露としてのリアリズムを追求した画家松本竣介にとって、こうした伸びやかな線による作品こそ、より竣介らしいと言えるのかもしれない。(荒屋鋪透)

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