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操り獅子

あやつりじし

概要

操り獅子

あやつりじし

無形民俗文化財 / 沖縄

選定年月日:20040206
保護団体名:名護市川上区、伊豆味区あやつり獅子舞保存会、謝名アヤーチ獅子保存会

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 操り獅子は、名護【なご】市川上【かわかみ】、国頭【くにがみ】郡本部町伊豆味【もとぶちょういずみ】、同郡今帰仁村謝名【なきじんそんじゃな】の沖縄県下三か所での伝承が確認されている糸操りの獅子舞である。いずれも、豊年祭の奉納踊りの最終演目として操られている。
 名護市、本部町、今帰仁村は、沖縄本島北部の本部半島に位置している。
 川上の豊年祭は、以前は毎年旧暦の八月八日をショウニチ(正日)として行われていたが、現在は不定期である。平成十五年においては、九月七日の晩、地区の公民館舞台において、一六演目の芸能が奉納された。その最後の演目が操り獅子である。また、奉納踊りはショウニチを挟んだ三日間行っていたが、現在はショウニチの一日のみ行うことになった。
 伊豆味の豊年祭は、五年マール(実施年から数え始めて五年目ごと)で実施され、旧暦八月九日、十一日、十五日の三日間、奉納踊りが踊られている。このうち操り獅子は十一日、ショウニチの最終演目である。
 謝名の豊年祭は、伊豆味と同様に五年マールで行われ、奉納踊りは旧暦八月九日、十一日、十三日、十五日、十七日に行われていたが、踊り手の若者が少なくなったことなどから、近年は旧暦八月十五日だけ行うようになった。操り獅子は、ここではアヤーチと呼ばれ、他と同様最後の演目である。その由来等については不明であるが、地元では三〇〇年くらい前から伝わっているといわれている。
 川上、伊豆味、謝名の各操り獅子は、その操作方法など基本的に共通している。
 操り獅子は、奉納踊りが上演されるバンクと呼ばれる舞台上に、獅子を遊ばせる小さな台を設けて行われる。雌雄二頭の獅子は、この台の真ん中に吊り下げられた玉を中心に向かい合うように置かれ、三線【さんしん】などによる音楽の演奏が始まると、最初はゆっくりと、しだいに激しく身体を動かし、玉に飛びつくような所作も見せ、演技は最高潮に達する。川上では軽快な「伊計離節【いちはなりぶし】」を伴奏音楽としている。伊豆味では「あっちゃめーぐぁー」が用いられており、同じメロディーを繰り返し、だんだんとテンポを早めて終わる。三線、銅鑼【どら】、太鼓、拍子木等で演奏され、床を叩いたりして囃すこともあるという。
 糸操りの操作は、獅子一頭につき一人が行う。獅子の頭部と臀部には一本ずつの糸が結び付けられており、この一頭につき二本の糸は、舞台の天井に取り付けられた竹などの棒の上をわたされ、獅子が遊ぶ台の後方に延ばしてある。操作者は舞台後方に控えており、両手に糸を握り、激しく上下に動かすなどして獅子を操る。大変な力を要するため、合間合間に交代しつつ操るが、獅子の動きを止めないようにしなければならない。また、中央に吊り下げられた玉にも一人の操作者が付き、玉を上下に揺らす。獅子が遊ぶ台の背後に幕を垂らし、操作者はその後ろで操作する。
 獅子は、竹ひごと縄で骨格を作り、竹ひごと縄に糸芭蕉を結び付けて胴体とする。操るためには多少の重みが必要となるため、やはり竹ひごと糸芭蕉で作った四本の足先に、硬貨を数枚結び付け、同時に音の効果も得る。頭は重量の軽いデイゴの木を用いることが多い。いずれにしても手作りであり、その時々で入手可能な材料を組み合わせて作り上げる。
 なお、伊豆味では、獅子を動かすときには、神役【かみやく】を通じ、神に伺いを立てなければならず、了承を得られなければ動かすことはできないとされている。

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キーワード

旧暦 / 踊り / / 芸能

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