地獄草紙 じごくぞうし

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日本画 / 奈良県 

平安~鎌倉時代 12世紀
紙本 著色 墨書 巻子
縦26.5 横454.7
1巻
国宝

 当館の地獄草紙は明治年間には東京・大聖院の所蔵であり、のち神奈川・原家を経て国有になる。東京国立博物館所蔵の旧岡山・安住院本地獄草紙一巻とならんで著名な作品である。詞書き六段、絵七段からなり、隋の闍那崛多訳『起世経』巻二所説の八大地獄の周辺の十六小地獄を表したものである。現在の場面は、第一段糞屎泥地獄、第二段凾量地獄、第三段鉄鎧地獄、第四段鶏地獄、第五段黒雲沙地獄、第六段膿血地獄、第七段孤狼地獄となっている。なお絵第七段は『起世経』の孤狼地獄ではなく、『大楼炭経』に説かれる狼野干泥梨とする説がある。
 詞書きは「また別所あり」ではじまり、『起世経』の該当部分の意趣に、罪人の現世における罪状を加えて、東京国立博物館本に見合うように形式的に整えられている。奈良国立博物館本は優れた制作であり、柔軟な描線に抑えた暗色系の彩色を施す。全体に重厚な雰囲気が漂いながら、ある種の超越した穏やかさがある。図様には鉄磑所のように中尊寺経見返絵にも見られるものと、鶏地獄のように宋風の受容が顕著なものがある。現存する地獄草紙、沙門地獄草紙、餓鬼草紙、辟邪絵、病草紙などの、いわゆる六道絵の中ではもっとも精妙な作風を示しているといえよう。
 これら現存する六道絵巻は、後白河法皇(1127~1192)が制作させ、蓮華王院宝蔵に納められていた「六道絵」に相当すると考える説が有力である。

奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, pp.316-317, no.171.

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