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黒漆花鳥文螺鈿琵琶 銘「孝鳥絃」
(附)黒漆内箱・白木外箱

くろうるしかちょうもんらでんびわめいこうちょうげんつけたりくろうるししらき

概要

黒漆花鳥文螺鈿琵琶 銘「孝鳥絃」
(附)黒漆内箱・白木外箱

くろうるしかちょうもんらでんびわめいこうちょうげんつけたりくろうるししらき

工芸品 / / 九州 / 佐賀県

佐賀県

明時代

 本品の装飾は、貝片を貼って漆で塗りこめた後その貝を剥ぎ出す「螺鈿剥出法」で、元~清時代の中国や琉球などに見られる技法であるが、花鳥による吉祥的画題、画面の構図、夜光貝の薄さ、貝片の細部の丁寧な毛彫り、模様の輪郭の金箔での隈取り、絵画的な螺鈿表現、奥行きある空間のとらえ方など中国螺鈿の特徴が随所に見られることなどから、中国の明時代の制作と判断できる。構造、装飾ともに細部まで意を尽くした丁寧な作りであり、後世の大幅な修復も見られず、制作当初の姿をよく留めている。
 明時代・清時代の琵琶の特徴は、胴が「ほっそりした形」をし、柱は「四相九~十品」(頸上に山形柱4本・腹板上に細い竹柱9~10本)である。本資料は、胴が「ふっくらした形」をしており、唐代の影響を受けた日本の楽琵琶と類似しているが、表面の頸上・表板上に「四相十品」を推定させる柱の接着痕が列んでいる。現在、明時代・清時代の「ふっくらした形」の琵琶の例は無いが、唐代の主流の形であり、現在も中国福建省でこの形の琵琶が作られていることから、本品は明時代にも一部で「ふっくらした形」の琵琶を作成していたことを示す初見の例となる可能性が高い。

全長92.8㎝、胴幅38.1㎝

1面
2点

佐賀県佐賀市城内一丁目15-23

佐賀県指定
指定年月日:20130430

佐賀県教育委員会

有形文化財(美術工芸品)

本品が伝世した大財武富家の第2代当主武富廉斎(れんさい)(1638~1718)は、元禄5(1692)年に佐賀藩の許可を得て、藩内で2例目の孔子廟である「大寶聖林(大財聖堂)」を大財村に開き(現佐賀市大財一丁目)、元禄9(1696)年に一代侍格の儒者となった人物である。本品は、武富廉斎かその父である武富常古(じょうこ)(生年未詳~1684)が従事していた長崎貿易の中で入手したもので、琵琶の名手であった廉斎が使用し、その後も「孝鳥絃」という銘で大財聖堂の宝物として保管され、同家10代の武富時敏(1856~1938)の国政進出とともに、東京の同家に伝えられたものである。

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