許由巣父図

絵画  日本画 / 日本 

曾我蕭白 (1730-1781)
そがしょうはく
制作年不詳
紙本墨画
171.5×86.0
襖 4面

 この襖絵には「許由巣父図」(きょゆうそうほず)という名称が与えられている。裏面には、松の下で遊ぶ孔雀が描かれており、もともと兵庫県の旧家を飾っていたものであったが、今夏当館の所蔵品となった。
 許由巣父といえば、ともに中国古代の伝統の聖帝堯(ぎょう)の時代の高士である。許由は、堯が自分に帝位を譲ろうというのを聞いてその耳が汚れたと頴川(えいせん)で耳を洗い、巣父は、そんな汚れた川の水は飲ませられないといって牛を牽いて帰った、という高潔の士であった。
 しかしそれにしては、ともに破衣を着せられ、容貌はといえば、野卑な笑いを浮かべて、どうみても高士のそれではない。室町や桃山の正統な許由巣父図だと、巣父のつれない欲求に徒順な牛も、蕭白にかかると水を飲みたいという自然な要求を露わにして決して恥じていない‥。
 古典を洒落のめす磯智と滑稽、卑俗さが姿をのぞかせており、この古典を卑俗化する俳謔は、近世の庶民が愛した俳諧の感覚に共通するものがある。(山口泰弘)

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