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瑛九  (1911-1960)

エイ−キュウ

昭和32年/1957

リトグラフ・紙・1

37.5×52.3

右下に署名

1回東京国際版画ビエンナーレ展 東京、読売会館 1957

58
旅人
Travellers
1957年
石版・紙
39.5×54.0cm
右下に署名:Q Ei
1957年 第1回東京国際版画ビエンナーレ展
瑛九は数少ない真正なモダニストの一人であった。彼はフォトデッサンにしても、エッチングにしても、誰かに師事するのではなく、そのほとんどすべてを独力で築きあげた。モダニズムの根本精神は、伝統や因習をほとんどかえりみず、つねに““いま、ここにある””という、なにものにもかえがたい厳粛な事実から出発する点にある。だからこそ瑛九は、一方で世界的市民を志向しつつ、次のように書き得たのであった。「僕は我々の現実を一つの理想、あるいはイデオロギーで批判しようとするよりも、その中ですべてを肯定して生きようとします。つまり日本を批判し他によいものがあるという風に精神を傾斜させるよりも日本の中に生きることを大切にするのです」(1958年)。こうして、その類例のない数々の画面が生み出されたのである。そこでは、最晩年の点描による抽象作品を別にすれば、とりわけエッチングにおいて、さまざまな事物、さまざまな形態が有機的にからみあい、写実的でありながらも幻想的な、奥深い森の様相を呈している。《旅人》は比較的写実的な作品だが、独特の幻想的な抒情に満たされ、散在する小さな旅人に瑛九自身の姿を見てとることもできよう。

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キーワード

/ 東京国立近代美術館 / / 精神

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