壺の上に林檎が載って在る

油彩画 

岸田劉生 (1891-1929)
キシダ、リュウセイ
大正5年/1916
油彩・板・額・1面
40.0×29.5
左上に署名; 右上に年記
3回草土社展(「壺の上に林橘が乗って在る」) 東京、赤坂溜池三会堂 1916

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岸田劉生[1891−1929]
壷の上に林檎が載って在る[1916年]

1916年の夏、一時健康を損ねた劉生は、戸外での写生を禁じられて風景画を断念し、それまであまり手がけたことのなかった静物画の制作に意欲を向けた。バックの布の手触りや、バーナード・リーチ作の重い陶器の質感などが、対象に噴い入るなかでみごとに掴み出され、「存在する=在る」ことの不可思議さに打たれた画家の驚嘆が伝わってくる。ところで劉生にとって、こうした存在そのものの驚異に気づくことは、彼の言う、単に「物象に即した美」の世界から、その「物象」を成り立たしめる神秘な力のありかである「唯心的な美」の世界へと、越え出る足掛かりをつかむことを意味していた。画面をいっぱいに占める壷のその口に、林檎をのせるという奇抜な構図と着想もまた、日常的なものの世界から形而上的世界へと、対象を移行させる役割を担う。裏にはこの作によって彼の画が「或る進歩を一段つけてした」ことが書き記してあり、自己の表現の飛躍を自覚した画家の、自信と喜びをうかがうことができるだろう。


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