工芸品 / 安土・桃山
- 東京都
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桃山 / 1601-1700
- 素地は砂粒交じりの鉄分を多く含む黄灰色陶胎で、轆轤成形した算盤玉形をなす壺である。胴は強く張りだして算盤玉形を呈し頸にむかって緩やかにすぼまり、口縁を低く鋭く「く」の字形に屈曲させ端反りとする。胴下半は丸みをもってすぼまり、篦削り調整を施す。底にはやや幅が広く外に開く高台を削り出す。
胴の一方には芦と草花の文様を、他方には唐草の文様を、それぞれ鉄絵で描き、内外面全体に土灰の交じった長石釉を掛ける。胴裾から底は露胎とし、長石釉は淡黄白色に発色する。
口縁の一部には繕いがある。
- 高16.4 口径16.6 胴径22.8 高台径10.7 (㎝)
- 1口
- 東京都千代田区丸の内3-1-1
- 重文指定年月日:20080710
国宝指定年月日:
登録年月日:
- 財団法人出光美術館
- 国宝・重要文化財(美術品)
桃山時代には西日本最大の陶器生産地である佐賀県に所在する唐津窯の作品である。唐津窯は九州諸窯の中では最も早く一五八〇年頃には既に開窯していたと推測され、桃山時代には志野・織部などを創出した美濃窯とともに茶陶の名品を数多く生産している。本作品は鉄絵で文様を描き長(ちょう)石釉(せきゆう)を掛けた絵唐津の製品で、芦や草花の文様が手慣れた筆致でのびのびと軽快に描かれる。作風が優れた絵唐津を代表する優品である。