左官(古式京壁) さかん(こしききょうかべ)

文化財保存技術 建造物

  • 選定年月日:20010712
  • 選定保存技術

 左官は建造物の修理にとって欠くことのできない技術であり、書院建築や茶室に用いられる京壁と、城郭や土蔵に使われる漆喰壁【しつくいかべ】などがある。京壁は、古来より色土を豊富に産する畿内を中心に発展し、様々な建造物に使用されてきた。その仕上げには地域ごとに固有の色土などを用い、色合いや施工方法も多様であることから、様々な技法が発達し、建造物の内外観を特徴づける重要な要素となっている。また、意匠上のみでなく構造的にも重要な部位であり、文化財修理においては、美しくかつ強い壁の製作が常に求められる。そのためには下地となる竹や藁縄【わらなわ】、土壁を構成する土、〓【すき】などといった材料の吟味、施工時においては壁の水引き加減の見極め、鏝【こて】使いなど多彩な技法に応じた技量が必要で、それには豊かな経験に基づいた高度な習熟が不可欠である。
 また近年は一般建設業界で湿式工法の需要が減少しているために、伝統的な京壁の左官技術を体得した技能者が激減する傾向にあり、早急に技術の保存と後継者の育成を図る必要がある。
 なお、近年、新築工事で多用されつつある薄付け仕上塗材【しあげぬり】材を用いた工法も京壁と呼ばれているので、選定名称については左官(古式京壁)とし、伝統的な工法であることを示す。

左官(古式京壁)

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