三鈷柄剣 さんこづかけん

工芸品 / 鎌倉

  • 鎌倉
  • 1口
  • 重文指定年月日:19880606
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 長谷寺
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 三鈷柄剣は、三鈷杵【さんこしよ】の形に象った柄をつけた剣で、修験者が採灯護摩【さいとうごま】などの修法に際して用いた。室町時代以前の三鈷柄剣で当初の姿をそのままに残した遺例は極めて少なく、多くは身と柄が元々のものではなく、どちらかを後世に補作している。
 この三鈷柄剣は元の姿を伝える数少ない遺品で、しかも同種のものの中では最も小振りに属している。剣身は両鎬造【りようしのぎづくり】、極めて細身で、先はさほど張らず、表裏に鎬樋を掻流す。鍛【きた】えは小板目【こいため】流れて柾【まさ】がかり、刃文は直刃【すぐは】である。茎【なかご】は短かく、先切り、目釘孔【めくぎあな】一個、銘はない。柄は金銅製【こんどうせい】、小振りで偏平な三鈷杵形である。鈷の張りは強く、爪先はさほど尖らず、把は中央に鬼目【きもく】四個を廻らせ、表裏中央の鬼目に孔をあけて目釘孔とする。鬼目の上下は八葉蓮弁を二条の紐で約している。
 身は極めて細身にもかかわらず鍛えが精美で、刃文もよく焼が入っており、柄は偏平であるが、鈷に張りがあり、身と柄とがよく調和した優美な姿の三鈷柄剣である。

三鈷柄剣

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