表装建具は、絵画や書跡等の装丁のうち屏風装【びょうぶそう】、額装【がくそう】、襖貼付【ふすまはりつけ】、壁貼付【かべはりつけ】等に用いられる木製の下地骨組及び縁木【ふちぎ】を指す。下地材料は樹脂が少なく、変形の少ない形の白太【しらた】が好まれ、工程は木取り、矯正、削加工、寸法決め、仕口加工、仕上加工、組立の順をたどる。
前記の形状の書画類は、我が国には一般的な室内調度として極めて多数が伝存するが、修理に際しては原則表装建具の新調が必要となり、製作需要は不断に存在する。しかし、表装建具のわずかな狂いが文化財の損傷原因となるため、その製作には細やかな神経と正確無比な加工技術が要求される。良質な材料を選別し、伝統的な工法を用い、高度な技術をもって正確に製作された表装建具の製作者が減少する中で、同製作技術に対し保護の措置を講じる必要性がある。