左官(漆喰塗) さかん(しっくいぬり)

文化財保存技術 建造物

  • 選定年月日:19980608
  • 選定保存技術

左官は土壁や漆喰壁を塗る技術で、土壁は下地の上に荒壁塗、中塗と塗り重ね、上塗によって壁表面を仕上げる。漆喰壁は上塗の代表的な例である。左官技術は壁の表面を美しく仕上げることと、いかに耐久性のある壁を造るかが技術上の最重要課題であり、日本の伝統的な建築の意匠上の重要な要素ともなっていて、わが国の文化財建造物の修理に欠くことができない。中世以前は泥工【でいこう】、壁塗り、壁大工等の呼称で呼ばれていたが、近世初頭ころからしだいに左官の名称が使われるようになった。とくに江戸から明治時代にかけて、漆喰塗技術は最盛期を迎える。亀裂や剥落を生じない耐久性のある漆喰壁を造るには、土、石灰、すさ、のり等の材料の吟味や調合方法、塗ったときの水引加減などが関係し、これらの見極めには豊富な経験が必要である。近年、プラスター塗りなどの安価で簡単な施工方法が一般化し、伝統的な漆喰塗の技術は失われつつあり、早急に保護を図る必要がある。

左官(漆喰塗)

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