屋根板製作 やねいたせいさく

文化財保存技術 建造物

  • 選定年月日:20110905
  • 選定保存技術

 文化財建造物の屋根を板材で葺く技術には、こけら葺、とち葺などがあり、いずれも椹【さわら】や杉などの木材を手作業で割り、形状を整えて製作した屋根板を使用している。屋根板製作技術は、このような手割りの屋根板を製作する技術である。
 屋根板には、屋根面に葺く平葺板【ひらぶきいた】のほか、軒先に使用する軒付板【のきづけいた】や上目板【うわめいた】、隅背【すみせ】などの曲面部に使用する隅板など、用途に応じた仕様があり、板の厚さや長さなども多様である。屋根板の製作においては、原木の良否を見極めて入手し、個々の建造物における屋根の仕様に応じた良質の屋根板を、手際良く、かつ大量に製作することが重要で、高度な熟練が求められる。
 また板葺屋根の耐用年限は二十年から三十年程度であることから、文化財建造物の保存には屋根板製作技術の継続的な伝承が不可欠である。しかし近年は一般建築における屋根板の需要が急減し、屋根板製作技術の体得者も極めて少なくなっていることから、緊急に技術の保存の措置を講ずる必要がある。

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