東洋画(日本画を除く) 絵画 / 宋
龍は神霊な動物とされ、鳳凰、麒麟・亀とともに四霊称せられる。中でも、龍は水墨画の題材とっして、最も多く用いられている。この図は、風を起こし雨を呼ぶ龍の豪壮な神秘の力をあらわして、気韻が全面にみなぎっている図である。陳容は所翁と号した南宋時代の官人で、宝祐年間(一二五三-五八)に龍描きの名手として著名であった。虎も四神の思想に結びついた故か、水墨画の好題材としてよく描かれた。ことに牧谿筆と伝えられる虎はひときわ素晴らしく、名作が多い。図の右隅に「牧谿」の署名と白文方印がある。この二幅は文永四年(一二六七)に朝鮮から請来され、その後足利将軍家に伝来し、永禄十一年(一五六八)時の将軍足利義栄がこれを織田信長に譲ったと伝えられる。足利将軍家-足利義栄-織田信長-豊臣秀吉-木村重成-島左近-徳川家康-初代義直-と伝来した。