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能装束〈紅地蜀江文黄緞狩衣/〉

のうしょうぞく〈べにじしょっこうもんおうどんかりぎぬ〉

概要

能装束〈紅地蜀江文黄緞狩衣/〉

のうしょうぞく〈べにじしょっこうもんおうどんかりぎぬ〉

工芸品 / 室町 / 東北

室町

1領

重文指定年月日:19850606
国宝指定年月日:
登録年月日:

黒川能上座

国宝・重要文化財(美術品)

黒川能(重要無形民俗文化財)の上座大夫家に伝来した装束で、大夫世襲披露の際に舞われる翁舞いに着用された狩衣である。表には黄緞【おうどん】を用い、裏には白練緯【ねりぬき】地辻が花染小袖を引き解き裏返しに付けて袷仕立てにしている。黄緞は経に絹糸、緯に木綿糸を用いた繻子組織の織物で、中国・明時代にはかなり製織され、わが国にも舶載された。室町から桃山時代の能装束のうちには黄緞を用いた狩衣や法被などが散見されるが、なかでもこの黄緞は堂々たる蜀江文様が織り出され、明時代も盛期のものと考えられる。また裏地の小袖裂はほぼ一領分が用いられ、当初は肩と裾を紅の洲浜形に染分け、朱描きと金銀摺箔【すりはく】で草花貝藻文様を片身替に表した辻が花染の肩裾小袖であったことがわかる。狩衣の形状は小振りな仕立てで、総体に古様を伝えている。現存する能装束の中でも室町時代にまで遡る古例であり、同時に裏地の辻が花染小袖裂も類例の少ない室町時代の小袖資料として貴重である。

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