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新古今和歌集〈自巻第一至巻第十五/〉

しんこきんわかしゅう

概要

新古今和歌集〈自巻第一至巻第十五/〉

しんこきんわかしゅう

その他 / 鎌倉 / 近畿

鎌倉

3冊

重文指定年月日:19900629
国宝指定年月日:
登録年月日:

公益財団法人冷泉家時雨亭文庫

国宝・重要文化財(美術品)

 『新古今和歌集』の鎌倉時代の古写本で、巻第一より巻第十五までの三冊を存する。体裁は袋綴装で、料紙は文書等を翻した楮紙に押界(天二、中一横罫)を施して用いている。第一冊は真名序・仮名序があり、ついで巻第一以下、各冊五巻ずつを収めている。本文は半葉一四行前後、和歌一首二行書、詞書二字下げに全冊一筆にて書写するが、巻第十一の途中一紙分を欠いている。各歌頭に撰者名注記と隠岐撰抄の合点を付し、本文中には見せ消ち、補入、擦消訂正や「京本如此」などの校異がみえ、まま押紙に記したものもあるが、いずれも本文と同筆であり、切出歌はみえない。
 各冊末にある奥書によれば、この本は文永十一年、同十二年に大夫阿闍梨円嘉【えんか】の真筆本を以て書写したもので、その円嘉本は藤原定家筆の御室御本を底本として、延応元年(一二三九)に藤原家隆書写前内大臣(九条基家)家本を以て校合し、これに合点を加え、さらに寛元元年(一二四三)に藤原定家書写前内大臣家本を以て再び校合を加えた本であることが知られる。
 本書の紙背には、ほぼ全体にわたって書状、和歌、連歌や訴訟関係文書等を存しており、なかに僧禅忍の自詠和歌懐紙および書状草案が多くみえるが、その筆跡は本文と同筆と認められ、本書は僧禅忍の書写になるものと考えられる。禅忍については詳らかでないが、同じ紙背文書中の文永十二年三月日清水寺地主御前西桜垣用途の勧進僧に地下連歌師の僧寂忍などとともに禅忍御房の名がみえ、おそらくは清水寺関係の僧であったとみられる。
 現存する『新古今和歌集』写本のなかで、本書は書写年紀の明らかな最古写本で、書陵部合点本の親本にあたり、定家書写本系の円嘉本の姿を最も忠実に伝えた写本として国文学研究上に価値が高い。また紙背文書には、現存最古に属する連歌懐紙など未紹介の資料を含み注目される。

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