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木造獅子頭

もくぞうししがしら

概要

木造獅子頭

もくぞうししがしら

彫刻 / 鎌倉 / 南北朝 / 室町 / 安土・桃山 / 江戸 / 近畿

鎌倉~室町~江戸

2面

重文指定年月日:20001204
国宝指定年月日:
登録年月日:

手向山八幡宮

国宝・重要文化財(美術品)

 当社の重要な祭礼である転害会(手掻会、碾磑会)に出る三基の神輿をそれぞれ先導する王舞に使われた獅子頭である。
 両面ともキリ材製で、頭部は一材、両耳、舌および下顎はそれぞれ別材で造る。下顎の両側から後方に短い桟木が伸び、それと両頬部の間に通された軸木(後補)により、口を開閉をする仕組である。上下歯列(前・両側の三方)の咬合面に鉄板を釘(各三個)で打ち付ける(その一の上歯列右方が残り、同左方分は別保存される。その二は上左方のみ残る。)。
 転害会は八幡神が東大寺転害門から入御するさまを再現するもので、東大寺最大の行事であった(旧九月三日)。遅くとも平安時代前期にはすでに始まっていたことが文献から推測されている。その後江戸時代に至るまで一時の中断はあったものの、連綿と続き、戦後まで縮小されながらも行われていた(仮面は模造を使用)。最も盛んだった時期は鎌倉時代半ばころ、永仁三年(一二九五)に中断し、徳治年中(一三〇六-〇八)に復興する。行列の中に、獅子舞二頭、王舞三人が登場する。本獅子頭は、嘉元四年(一三〇六)に転害会復興に備えて修理された唐鞍三具(一具は国宝、二具は重文)などと同じく、その最盛期たる鎌倉時代半ばの製作と推測される。より具体的には、東大寺と手向山八幡宮などに分蔵される舞楽面で転害会所用と見られるもののうち、納曽利面(手向山八幡宮〈重文〉および神宮徴古館蔵)の銘にある正元元年(一二五九)あたりが、製作時期の可能性の範囲内といえよう。
 極めて大型の獅子頭であるが、わずかに大小の差があり、また小(その二)の鼻梁に一本溝を入れるなどの変化もつける。基本的には、法隆寺の獅子頭(二面。平安時代後期。重文)に見るような目鼻の大振りな系列に属する一例だが、本面の場合、全体が大型ということの他に、頭上に瘤状の盛り上がりをつくり、目鼻の造作を大きく強調することにより、躍動感ある造形としている。このように中世以降顕著になる特徴をすでに表しており、鎌倉時代以降の多様な獅子頭の変容のなかで極めて重要な作品といえよう。
 附の鼻高面(その一、その二)は、ヒノキ材製で面主要部を一材から彫出し、鼻部に別材を矧ぐ。長い鼻が不自然にならずそこに力の集中する造形で、室町時代の上質の作である。その三はその二を江戸時代に模したものらしく、眉間の皺が装飾的で、目や口が小振りとなる。

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