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三嶺・天狗塚のミヤマクマザサ及びコメツツジ群落

みうね・てんぐづかのみやまくまざさおよびこめつつじぐんらく

概要

三嶺・天狗塚のミヤマクマザサ及びコメツツジ群落

みうね・てんぐづかのみやまくまざさおよびこめつつじぐんらく

天然記念物

2県以上

三好市、香美市物部町

指定年月日:19940901
管理団体名:

史跡名勝天然記念物

H5-6-13[[三嶺・天狗塚]みうねてんぐづか]のミヤマクマザサ及びコメツツジ群落.txt: 四国第2の高峰、剣山より西方に延びる稜線上に[[三嶺]みうね](標高1、893メートル)および天狗塚(標高1、813メートル)が位置する。三嶺から天狗塚を経て西に延びる山稜は、徳島県と高知県の境をなしている。この8キロメートル余の稜線にそって、森林限界上部にササ草原とそのなかに団塊状を呈したコメツツジの群落が広がっている。
 このササ草原は地形的な条件下に成立した風衝草原で、ところにより標高1、500メートル付近まで下がることがあるものの、おおむね標高1、600メートルから上部を覆っていて、ほとんどがミヤマクマザサで占められている。ミヤマクマザサは本州中・南部の太平洋側と四国の一部に分布するが、亜高山帯での生育は四国でのみ見られる。本州の太平洋側と九州の亜高山帯では、積雪の少ない条件下でミヤコザサの生育が一般的であるのに比して、同様に積雪の多くない四国の亜高山帯で、深雪地型の生活形を示すミヤマクマザサが生育する点に、特異性を見ることができる。
 ところで、このササ草原には、コメツツジが優占する矮性低木群落が斑状に、または相当規模の団塊状に生育しており、花篭を配したかのごとき景観が人目を引いている。タカネオトギリ-コメツツジ群集と命名されているこの群落は、ササ草原にあって岩の露出したところや土壌堆積がごく浅いところを占めており、主として南向き斜面に生育地が広がっている。コメツツジは、全国的に広く分布しているが、本地域の大規模な群落は他地域にその比類を見ることのないもので、貴重な群落として早くからその存在が注目されてきた。
 なお、このコメツツジ群落をタカネオトギリ-コメツツジ群集とするとき、本州でこれに対応する群集はコメツツジ-コメツガ群集とされ、両群集はきわめて類縁関係の強い植生であると指摘されている。
 また、このササ草原には四国の亜高山帯特産のトゲアザミ、タカネオトギリ、イヨフウロのほか、イブキトラノオ、マイズルソウ、コモノギクなどの亜高山性の草原を様々な程度に混じ、ところによっていわゆるお花畑状を呈している。
 以上のように、本地域のともに大規模なササ草原とそこに内在するコメツツジ群落は、ミヤマクマザサの得意な分布、他に類を見ないコメツツジの大群落、さらには四国における亜高山帯植生の典型として、また四国特産種を含む亜高山性草本の生育地であることなどに着目するとき、その学術的価値は極めて高いものであることから、天然記念物に指定して保存を図ろうとするものである。

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