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木造十一面観音立像

もくぞうじゅういちめんかんのんりゅうぞう

概要

木造十一面観音立像

もくぞうじゅういちめんかんのんりゅうぞう

彫刻 / 奈良 / 近畿 / 和歌山県

和歌山県

奈良

1躯

和歌山県和歌山市吹上1-4-14

重文指定年月日:19960627
国宝指定年月日:
登録年月日:

圓満寺

国宝・重要文化財(美術品)

 ヒノキの良材を用いて、化仏・頭上面および左前膊半ば先(いずれも後補)を除く全容を、天衣や冠繒・瓔珞等装身具の遊離部まで含め一木より彫り出した十一面観音像である。内刳りは施さない。現状では肉身部に後補の漆箔が施されるが、衣部には下地の痕跡がみられず、元来は素地仕上げであったかと思われ、『十一面観音神呪経』に説かれる十一面観音の造像作法に依拠しつつ、ヒノキを代用材として用いた檀像である可能性が高い。
 その細身の体型には独特のものがあるが、目尻がうねり、いくぶん沈んだ表情をたたえる面長の顔立ちや、束目をつくらず毛筋を細かく刻む地髪の表し方には八世紀の乾漆像に通じる特色がうかがえ、また衣文を峰に綾を立てて刻み、裳の背面や折返し部に茶杓形衣文を並べるのは唐招提寺や大安寺等に遺る奈良時代の木彫像に類例が見られる。唐草と珠をあしらった大型の豪華な胸飾はおよそ天平盛期ころの形式を示している。これらの点から製作年代は八世紀半ばから後半にかけてとみられる。
 全国的には遺品の少ない奈良時代の木彫像の貴重な一例であるのみならず、当時の紀伊地方における仏教文化の水準を具体的に物語る遺品として、その存在価値は高く評価されよう。

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