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三教指帰注集

さんごうしいきちゅうしゅう

概要

三教指帰注集

さんごうしいきちゅうしゅう

その他 / 鎌倉 / 近畿 / 京都府

京都府

鎌倉

4帖

京都府京都市下京区烏丸通七条上る常葉町754

重文指定年月日:19960627
国宝指定年月日:
登録年月日:

学校法人真宗大谷学園

国宝・重要文化財(美術品)

 『三教指帰注集』は、空海が延暦十六年(七九七)に撰述した『三教指帰』三巻に釈成安なる人物が施注した注釈書である。本書は、上巻巻首の序文末行に「于時寛治二年戊辰孟冬朔日」とあって寛治二年(一〇八八)に成立したものであることが知られる。
 体裁は粘葉装冊子で、巻上(本・末)二帖、巻中一帖、巻下一帖の四帖からなる。表紙は雲母引漉返紙(第三帖ハ茶染)表紙で、八双を付した原装をとどめている。表紙の左肩墨書外題に「三教指帰注集巻『幾』」とあって、右下に「寳泉院(宗秀)」と伝領墨書がみえる。本文料紙は楮打紙で、押界を施して半葉七行、行二〇字前後に正楷に書写されている。本書の構成は、まず文頭に朱の合点を冠した『三教指帰』本文を引用し、一字分の空白の後に「注云」と注解を施している。注解はほとんど引書による注釈で、引書には『文選』等の和漢の内・外典があり、約二〇〇種を数える。これらの引書には『玉篇』をはじめとする佚書・佚文を多く含み、佚文研究の資料としても貴重である。また、文中には墨の句読点、声点、返点等や朱のヲコト点(円堂点)が稠密にあり、仁和寺系統の訓法を伝え、訓点の国語学的資料としても重要である。
 各巻の奥書によれば、①真言僧の厳寛による書写、②書写の場所が弥勒寺谷房、③長承二年(一一三三)二月から翌年六月に書写及び加点の行われたことなどが明らかである。
 このように『三教指帰注集』の成立、書写には仁和寺系統の僧侶が深く関連していたことが知られ、本書は平安時代院政期の真言宗寺院における注釈書の作成及び書写の系統を研究する上にも重要な遺品である。本書は注釈書ではあるが、『聾瞽指帰』を別とすると、仁平四年書写になる『三教指帰』の最古写本(天理大学図書館蔵)をさかのぼる完存最古写本として、仏教、国語学上に価値が高い。

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キーワード

本文 / 書写 / 写本 / 本書

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