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黒紅地花卉文様繍箔小袖

くろべにじかきもんようぬいはくこそで

概要

黒紅地花卉文様繍箔小袖

くろべにじかきもんようぬいはくこそで

工芸品 / 江戸 / 関東 / 東京都

東京都

江戸/1601-1700

袷仕立ての小袖の作品である。表は菊花入り卍繋ぎの綸子、裏は紅練貫(後補)とする。表は総体に黒紅地とし、全体に金摺箔で霞や花唐草などの文様を施すが、現在一部を除いて剥落している。胸から背の肩を経て左脇にかけて大きく斜めに縞、敷瓦、山路、亀甲の文様を鹿子絞りで表す。縞と山路の間には小花と花唐草の、敷瓦の間には花唐草の文様が、それぞれ黄、萌黄、濃萌黄、青緑、紅、白の釜糸を用いて、平繍と纏繍の技法で緻密に刺繍される。さらに斜めの絞り文様に沿って全体に蔓花が繍い表され、間に青海波丸文、菱繋丸文、七宝繋丸文、鳳凰丸文などの文様が、それぞれ黄、萌黄、濃萌黄、青緑、紅、白の釜糸を用いて、同前の技法で繍い表されるとともに、金糸を用いて網丸文や花弁と葉などを駒繍で表す。
 裾には斜めに水辺の景を表す。流木は鹿子絞りに刺繍と摺箔で、青海波や菊、松樹、鶴亀、杜若などの文様は、同様の釜糸を用いて、同前の技法で繍い表されるとともに、金糸を用いて片輪車や花弁などを駒繍で表す。表左身頃の胸と裾文様の間には、身頃、衽、襟に飛ぶ鶴を一羽ずつ配する。両胸と背面両袖に貼付紋の痕跡がある。

身丈145.0 裄64.0 前幅33.0 後幅34.0 袖丈42.0 袖幅30.0
衽幅20.5 衽下り9.5 襟幅13.0 立褄60.5(㎝)

1領

東京国立博物館 東京都台東区上野公園13-9

重文指定年月日:20030529
国宝指定年月日:
登録年月日:

独立行政法人国立文化財機構

国宝・重要文化財(美術品)

菊花入り卍繋ぎ文の黒綸子地に、鹿子絞りで斜縞や敷瓦などを、金摺箔で霞や花唐草、刺繍で蔦花や菊、松樹、片輪車、鶴亀、杜若などの文様を、全体に精緻に表した典型的な慶長小袖の作品である。金摺箔に剥落が多く認められるものの、表地の仕立てには後補が見られない保存状態が良好な遺例であり、江戸時代初期(一七世紀前半)の小袖の実態を知るうえできわめて貴重である。

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