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砧蒔絵硯箱

きぬたまきえすずりばこ

概要

砧蒔絵硯箱

きぬたまきえすずりばこ

工芸品 / 室町 / 関東 / 東京都

東京都

室町時代

被蓋造りの硯箱で、内部は筆架式として長方形の硯と銅製楕円形の水滴を納める。総体は黒漆塗りで、金の平目粉を蒔いた地蒔を施し、金の高蒔絵を主体に研出蒔絵、切金、金貝等の多彩な蒔絵技法を駆使して意匠をあらわす。蓋表には、女郎花・藤袴・桔梗・薄・さるとりいばら等の秋草、岩、枕、満月を描き、秋草と岩に「し・ら・れ・ぬ・る」の文字が隠されている。蓋裏には、家で衣を打つ(この行為を″きぬた″という)夫婦の様子や、垣根に秋草、岩、兎等を描き、硯を納めた見込みにも秋草、岩、兎を配している。

縦24.8 横22.9 高5.1(㎝)

1合

東京国立博物館 東京都台東区上野公園13-9

重文指定年月日:20000627
国宝指定年月日:
登録年月日:

独立行政法人国立文化財機構

国宝・重要文化財(美術品)

室町時代中期のいわゆる東山時代には、高度な蒔絵技術が発達するとともに和歌などの古典にちなんだ歌絵意匠が盛行した。本品の意匠はその好例で、秋の野に枕を象徴的にあらわし「し・ら・れ・ぬ・る」の文字を隠した蓋表の図から、″きぬた″の場面を描いた蓋裏の図へと連関し、さらにその前景として描かれた秋草や兎が、見込みにも描かれるという巧妙な構成をとる。そして、全体の意匠と蓋表の文字によって『千載和歌集』巻第五所収「旅宿きぬたといへる心をよめる 俊盛法師、衣うつ音をきくにぞしられぬる里遠からぬ草枕とは」の歌意を意匠化したものと理解される。
 洗練された意匠表現、繊細巧緻な蒔絵技法において、重文・春日山蒔絵硯箱(東京・根津美術館蔵)に相通ずる作風を示す歌絵意匠蒔絵硯箱の優品である。

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キーワード

硯箱 / 蒔絵 / /

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