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大根島の熔岩隧道

だいこんじまのようがんずいどう

概要

大根島の熔岩隧道

だいこんじまのようがんずいどう

天然記念物 / 中国・四国 / 島根県

島根県

松江市八束町

指定年月日:19310731
管理団体名:松江市(昭7・1・8)

史跡名勝天然記念物

大根島ハ中海ノ中央ニ位スル周回約十キロメートルノ小島ナリ島形略圓形ヲナシ中央ニ大塚山(標高四十二メートル)アリ夫ヨリ地形四方ニ斜下シテ十メートル内外ノ低キ台地ヲナセリ其ノ全部ガ暗灰色多孔質ノ玄武岩ヨリ成ルヲ以テ見レバ同島ガ中海ノ海底ニ噴出シタル玄武岩ノ熔岩台回ナルヲ知ルヲ得ベシ本熔岩隧道ハコノ熔岩台中ニ生ジタルモノニシテ島ノ東方ナル大字■江ノ海岸近クニ開口スコノ口ハ隧道ノ天井ノ一部ガ墜落シタルモノニシテ之ヨリ西南ニ向ヒテ環状ヲナセル部分ヲ舊洞ト名ヅケ入口ハ環ノ東北部ニ当レリ環ノ西隅ニハ別ニ一洞穴ノ西南ニ向ツテ延長セルモノアリ環状部ノ全長ハ約百メートルニシテ天井ノ高キ所ハ二メートル半ニ及ブモ低キ所ハ僅ニ一メートルニ過ギズ匍匐シテ漸ク通ズルヲ得洞底ニハ泥土厚ク堆積シ且所々ニ水ヲ湛ヘテ深キ所ハ膝ヲ沒ス昭和元年夏舊洞ヨリ反対ノ方向ニ当テ更ニ一洞穴アルヲ発見シ之ヲ新洞ト名ケタリ新洞ハ東北ニ向テ緩斜シツヽ略直線状ヲナシ入口ヨリ六十二メートルマデハ入ルヲ得レドモ夫ヨリ先ハ泥土及水ニ寒ガレテ究ムルヲ得ズ然レドモ洞奥ニ当リテ波ノ音ヲ聞キ得ルト其ノ洞端ヨリ十メートルヲ隔ツル海岸近ク井戸ヲ堀リタルニ下底ニ洞穴アルヲ発見シタルトニヨリテ該洞穴ガ海中ニ通ジ居ルコトヲ知ルヲ得タリ
以上ノ事実ハ舊新二洞ガ元其入口ノ所ニテ互ニ連續シテ西南ヨリ東北ニ向テ延長シタル玄武岩中ノ一熔岩隧道ナルヲ證シ富士山麓ノ熔岩流中ニ於ケル熔岩隧道ト異リテ熔岩台中ニモ熔岩隧道ヲ生ジ得ルコトノ新事實ヲ示セルモノナリ
大根島は中海の中央に位する周囲約10キロの小島である。島形略円形をなし中央に大塚山あり夫より地形四方に斜下して10メートル内外の低き台地をなせり。その全部が暗灰色多孔貭の玄武岩より成るをもって見れば同島が中海の海底に噴出したる玄武岩の熔岩台面なるが知るを得べし、本熔岩隧道はこの熔岩台臺中に生じたるものにして、島の東方なる大字遅江の海岸近くに開口す。この口は隧道の天井の一部が隧落したものにして、これより西南に向いて環状をなせる部分を後洞と名付て入口は環の東北部に当れり環の西隅には別に一洞穴の西南に向って延長せるものあり環状部の全長は約100メートルにして天井の高き所は2メートル半に及ぶも低き所は僅に1メートルに過ぎず匍匐して漸く通ずるを得洞底には泥土厚く堆積し且つ所々に水を湛へて深き所は膝を没す昭和元年夏旧洞より反対の方向に当りて更に一洞穴ありを発見しこれを新洞と名付けたり。新洞は東北に向って緩斜しつつ略直線状をなし入口より62メートルまで入るを得れども夫より先は泥土及水に塞がれて究むるを得ず、しかし洞奥に当りて波の音を聞き得ると、その洞端より10メートルを隔つる海岸■井戸を堀りたるに下底に洞穴あるを発見したるにより該洞穴が海中に通じおることを知るを得たり。
以上の事実は旧新ニ洞が元その入口の所にて互に連続して西南より東北に向って延長したる玄武岩中の熔岩墜道なるを證することで他の熔岩墜道と異り熔岩台中にも熔岩墜道を生し得ることの新事実を示せるものとして特に学術上価値が高い。

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キーワード

熔岩 / / 洞穴 /

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