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チブサン・オブサン古墳

ちぶさん・おぶさんこふん

概要

チブサン・オブサン古墳

ちぶさん・おぶさんこふん

古墳 / 九州 / 熊本県

熊本県

山鹿市城

指定年月日:19221012
管理団体名:山鹿市(大12・12・13)

史跡名勝天然記念物

前方後圓ノ古墳ニシテ西方ニ面ス後圓部ノ中央ニハ南側ニ羨道ノ ヲ開ケル石槨アリ内ニ赤白等ノ顔料ヲ用ヒテ文様ヲ描ケル石棺ヲ存ス
H10-12-055チブサン・オブサン古墳.txt: チブサン古墳は墳丘長44メートルの前方後円墳で、複室の横穴式石室をもち、後室の石棺に描かれた壁画がつとに有名であり、古く大正11年に国の史跡に指定されている。
 オブサン古墳は、チブサン古墳の近傍にある円墳である。熊本県の「風土記の丘」構想をもとに、典型的で雄大な横穴式石室として公開できるよう整備を進めることとし、昭和59・60年に熊本県教育委員会が発掘調査を実施した。発掘調査の結果、直径22メートルで幅4メートル前後の周溝がめぐることが判明した。葺石や埴輪は認められない。石室開口部にはハの字にやや開く前庭部を設けているが、墳丘内側だけでおさめるのでなく、円形の墳丘から2つの矩形の突出部を張り出させることにより、間口4.5メートルで羨門まで奥行8メートルの前庭部を確保している。南に開く横穴式石室は複室構造で、奥室には石材は残っていないが石屋形があったことが判明した。石室の全長は、羨門から奥壁までで約8.5メートル、前庭部の8メートルを加えると16.5メートルとなる。奥室屍床を画する仕切り石に赤彩の連続三角文が、奥壁にもかろうじて赤彩の小型の靭もしくは盾が認められたが、痕跡程度になり肉眼では判読できない。本来は奥室には装飾豊かな壁画が描かれていた可能性が高い。鉄地金銅張りの馬具等が出土している。
 オブサン古墳は6世紀中ごろのチブサン古墳に後続する首長墓で、6世紀後半に築造され7世紀前半まで追葬がなされている。円丘から突出する張出し部をもつ特異な構造、前庭部列石を含めた全長16.5メートルの石室規模、貴重な壁画装飾をもつことから、チブサン古墳とともに、熊本県を代表する古墳のひとつといえる。よってオブサン古墳を追加指定し、「チブサン・オブサン古墳」として両者あわせて保存を図ろうとするものである。なお、江戸時代以来、チブサン古墳の壁画図像からくる「乳房信仰」とともに、オブサン(うぶさん=産さん)古墳は「お産」の神様として信仰の対象となり、両者は一体として意識されてきたものである。

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