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禅定石造層塔

ぜんじょうせきぞうそうとう

概要

禅定石造層塔

ぜんじょうせきぞうそうとう

建造物 / 平安 / 鎌倉 / 中国・四国 / 香川県

香川県

平安時代~鎌倉時代中期/~13世紀中葉

出釈迦寺奥の院である禅定境内に所在する。境内の釣鐘堂の脇に2か所に分散している。計11個体の部材であるが、うち7個体は釣鐘堂北東側に、4個体は釣鐘堂北西側にある。石材は凝灰角礫岩、通称「天霧石」である。現在は初重軸部1個体、軸部6個体、笠部4個体が残存している。初重軸部は側面四方に蓮華紋が大きく陽刻されている。いずれも素弁で肉厚で立体感に富む。弁数は南面が十六弁、東面が九弁、西麺が五弁と異なるが、蓮華紋のモチーフは類似する。初重軸部に蓮華紋を表現する層塔としては、古代の造立とされる奈良県塔の森層塔がある。軸部はほぞの側面が台形となる方柱状で縦長の個体と、側面が長方形で短いj個体の2種類に細分することができる。このことから複数個体の寄せ集め塔であることがわかる。笠部は軒裏に垂木を削り出し、四隅には隅木が表現され、また軸部が長く正面から見て軒下側に軸が見えることなどが共通している。このように禅定層塔の軸部は別石の軸部に加えて、笠部上側と笠部下側の軸とそれぞれ3つに分割されて構成されていることが特徴である。各々の属性を勘案すると造立時期は古代から鎌倉時代中期の間が想定できる。さらに年代を絞り込むと、軒裏の傾斜や蓮華紋は古代の石造物に特徴的にみられる属性である。軒の表現が丁寧なことなども合わせて香川県内の類例と比較すると、平安時代後期の観音寺市・神恵院宝塔や鎌倉時代前期の坂出市・白峯寺層塔より古い可能性が指摘できる。中世段階の石造物よりも古代の瓦塔や木工、金属製等の塔との類似点が多く、平安時代中期まで遡る可能性がある。

釣鐘堂北東部には7個体が積まれており、残存高は124.2㎝を測る。釣鐘堂北西部には4個体が他の石造物とともに積まれており、層塔部材のみの残存高は58.1㎝を測る。

1基

香川県善通寺市吉原町979

善通寺市指定
指定年月日:20110411

出釈迦寺住職 岡田幸恵

有形文化財(建造物)

出釈迦寺は我拝師山求聞持院と号する、真言宗御室派の寺院である。弘法大師ゆかりの古刹で四国霊場第73番札所としても著名である。現在の境内は我拝師山山麓に所在するが、1920年までは我拝師山と中山の稜線上に境内があった。この跡地が禅定と呼ばれており、現在は奥の院となっている。

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キーワード

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