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高崎市吉井町産出のジョウモウクジラ化石

たかさきしよしいまちさんしゅつのじょうもうくじらかせき

概要

高崎市吉井町産出のジョウモウクジラ化石

たかさきしよしいまちさんしゅつのじょうもうくじらかせき

地質鉱物 / 関東 / 群馬県

群馬県

ジョウモウクジラは高崎市吉井町(発見当時は多野郡吉井町)の鏑川河床において、平成14年に桐生市在住の清水勝氏によって発見された。標本は平成15年に自然史博物館に寄贈され、剖出作業が進められた。その後、自然史博物館研究員が既報の論文等による検討とともに国内外の博物館等に収蔵されている模式標本について現地での調査を行った結果、当該標本が明らかにこれまで報告されていないグループのヒゲクジラ類であることを確認し、当該標本をケトテリウム科の新属新種Joumocetus(ジヨウモウケタス) shimizui(シミズアイ)として報告する論文「A new baleen whale (Mysticeti: Cetotheriidae) from the earliest Late Miocene of Japan and reconsideration of the phylogeny of cetotheres(Kimura, Toshiyuki and Hasegawa, Yoshikazu) (日本の下部中新統最上部より産出したヒゲクジラ類(ヒゲクジラ亜目:ケトテリウム科)の一新種及びケトテリウム類の系統についての再検討(木村敏之・長谷川善和))」を、2010年3月、学術雑誌Journal of Vertebrate Paleontology(古脊椎動物学雑誌) vol.30 no.2 (Society of Vertebrate Paleontology(古脊椎動物学会))にて発表した。
  発見された部位は頭蓋、鼓室胞、下顎骨、椎骨である。頭蓋の長さは755mm、体長は4m程度と推定され、特に頭蓋が良好に保存されている点で特筆される。ジョウモウクジラはケトテリウム科と呼ばれる原始的な絶滅ヒゲクジラ類のグループに属するが、ジョウモウクジラは他のケトテリウム科に含まれる属種に比べて鼻骨は長く、鼻孔の位置は頭蓋のほぼ中央近くに位置し、頭頂骨は広く、後頭骨は発達していない。すなわちテレスコーピングは発達せず、ケトテリウム科の中でも最も原始的な特徴を多く備えている点で特徴付けられる。また、狭義のケトテリウム類の中では最も古い時代(約1100万年前)のものであることにより、国際動物命名規約による新属新種として記載された。

群馬県富岡市上黒岩1674-1

群馬県指定
指定年月日:20120323

群馬県

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