連続の溶解 64-10
概要
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連続の溶解 64ー10
Solution of continuity 64-10
1964(昭和39)年
油彩、麻布 162×130㎝
oil on canvas
第32回ヴェネツィア・ビエンナーレ
この作品は、堂本尚郎の抽象表現主義の時期の空間把握がより構築的に、より堅固に鍛えなおされたところで出てきた作品の一つである。アンフォルメル期の熱気が合理的に整理されて一つの様式にまとまったものといいかえてもよい。左側と右側から迫ってくる形体の熱気が中央少し右寄りの空白部分をはさんで緊張関係を保ちつつ対峙している。こうしたところにも、エネルギーの制御が一つの様式を実現させているということができる。それとともに、ここで水平の帯状の形体の連鎖ないしくりかえしというかたちで現れている形体および形体の連鎖、そしてそれらがつくりなす空間は、1970年代の作品の基本的なコンセプトをすでに先取りして示しているということができる。