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「六十余州名所図会/越中 富山船橋」

「ろくじゅうよしゅうめいしょずえ/えっちゅう とやまふなはし」

概要

「六十余州名所図会/越中 富山船橋」

「ろくじゅうよしゅうめいしょずえ/えっちゅう とやまふなはし」

版画 / 江戸 / 富山県

初代歌川広重  (1797~1858)

しょだいうたがわひろしげ

富山県高岡市

嘉永6年9月/1853年

紙・木版多色刷(錦絵)

縦36.2cm×横24.5cm

1枚

富山県高岡市古城1-5

資料番号 3-01-02-12

高岡市蔵(高岡市立博物館保管)

初代歌川広重(注1)作の「六十余州名所図会」の内の1枚である。「六十余州名所図会」とは、広重が晩年に手掛けた揃物で、五畿七道の68ヶ国の名所が描かれており、全70図で構成されている(注2)
 画面右上の枠内には、「六十余州名所図会/越中 冨山舩橋(注3)」と刷られている。中央には船橋の掛かる神通川が描かれている。当時の神通川は現在の松川で、富山城の北を西から東へ流れていた。よって本資料の画面右が西、左が東、上が南、下が北となる(注4)。橋の上を2人の人物が歩いている。画面上部には山が描かれており、その麓に松と家がいくつか描かれている。画面下部には、松と家、4人の人物が描かれている。画面左下の枠内には彫師横川竹二郎の「彫竹(注5)」と絵師のサイン「廣重筆」が刷られている。
 画面外の左下に2つの黒文円印があり、上は年月印(注6)「丑九」(嘉永6年は丑年でその9月に検閲を行ったことを示す)、下は版元越村屋平助の印「越平(注7)」が捺されている。画面外の右上には、2つの黒文円印がある。これは江戸の浮世絵などの改掛の名主印で、左が「馬込」(勘解由)、右が「濱」(弥兵衛)である(注8)。
 ちなみに当館には広重が「六十余州名所図会」を描くにあたり参考にした淵上旭江『山水奇観』(注9)(全12巻のうち『北陸奇勝』1800年)を既に収蔵している。
 資料状態は、良好である。

〔注〕
1.HP「日本大百科全書(ニッポニカ)」小学館
2.サントリー美術館HP「原安三郎コレクション 広島ビビッド」
3.①佐伯孝夫『浮世絵に描かれた加賀、越中、能登の人物と情景』2006年、p6~7、②『富山市民俗民芸村特別展 越中の民画』富山市民俗民芸村、2003年、p15~16,p44
4.富山市郷土博物館HP①「博物館だより第二十九号」・②「同第三十号」
5.①学習院大学HP「Web Library」、②HP「Wikipedia/横川竹二郎」
6.垣下和之HP「浮世絵ぎゃらりぃ/極印と改印(5)-第4期 名主二印と年月印の時代」
7.前掲注2、HP「Wikipedia/越村屋平助」
8.①たばこと塩の博物館HP「江戸の出版仕掛人part3」、②垣下和之HP「浮世絵ぎゃらりぃ/極印と改印(4)」
9.前掲注2、注3

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