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写経断簡「般若波羅蜜多心経 / 伝 虚堂和尚」

はんにゃはらみたしんぎょう

概要

写経断簡「般若波羅蜜多心経 / 伝 虚堂和尚」

はんにゃはらみたしんぎょう

/ / 中国

虚堂智愚  (1185~1269)

きどうちぐ

南宋(日本:鎌倉時代)

虚堂智愚

中国・南宋の臨済宗の僧。号は息耕。 16歳のとき、普明寺の師蘊について出家し、天寧寺の運庵普厳の座下において大悟し、その法門を継いだ。紹定2 (1229) 年興聖寺に住し、次いで報恩、瑞巌、育王、浄慈、万寿などの諸名刹に歴住した。虚堂門下の禅僧として名声を残した者が多数輩出したが、日本から入宋した南浦紹明 は虚堂の法脈を受けた臨済禅を日本に伝えた。『虚堂和尚語録』がある。虚堂の墨跡は筆勢の強い素朴なもので、鎌倉時代から愛好された。大徳寺蔵『達磨忌拈香語 』、同寺塔頭の孤篷庵蔵『凌霄』墨跡,妙心寺蔵『虚堂頂相』宝祐6年の自賛、東京国立博物館蔵の無象静照に与えられた『法語』、あるいは個人所蔵の墨跡が現存。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 より転載


「般若波羅蜜多心経」
般若心経、心経ともいう。
【成立】
般若心経のサンスクリット本には小本と大本の2種があり、小本に序文と結末をつけたものが大本であるが、本経は小本系の漢訳である。小本系のサンスクリット写本はインドにも他のアジアの国々にも残っていないのに日本の法隆寺に保存されている。その法隆寺写本は大体8世紀の成立であると想定されているが、本経はその訳出年代から見て500年代に成立したサンスクリット原典の翻訳と考えられる。
【内容】
1巻。小本系の漢訳であるから序文がなく、直ちに観自在菩薩から始まる262文字で書かれている。「色即是空、空即是色」で有名な心経の「心」のサンスクリット語=フリダヤはエッセンスを意味し、厖大な大般若経のエッセンスを取り出しコンパクトにまとめられたものであるから心経が最も広く知られることになった。ものにとらわれてはいけないと説くのが般若経であるので、この心経も無執着を説く。
【後世への影響】
本経の最後は掲帝掲帝……という密教の真言(マントラ)で終わっている。これは呪術的効果を増すためと言われているが、現在でも本経は呪文のように受けとられる場合が多い。
【関連経典】
摩訶般若波羅蜜大明呪経・普遍智蔵般若波羅蜜多心経・唐梵翻対字音般若波羅蜜多心経・仏説聖仏母般若波羅蜜多経

大蔵経全解説大事典(1998年)より抜粋

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キーワード

般若 / 波羅蜜 / / 小本

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