榻上の花(とうじょうのはな)
概要
2
榻上の花
F1owers on the Chair
1949年
紙本彩色
112.0×72.5cm
左下に白文方印
1949年第5回日展
松岡映丘を指導者とする新興大和絵会に属して、新しい大和絵の創造という線上で仕事を続けてきた山口蓬春は、しかし、すでに1932年の《市場》では、大和絵という枠をこえて近代的な感覚をもった新鮮な画風に入っていた。そして、この画家は、戦後ことに1950年前後にマチスやブラックなどフランス近代絵画の造形解釈を積極的に参考にした意欲的な作品を描いている。この《榻上の花》はこの時期の代表的な作品で、椅子や花や洋梨など対象物の形は単純化され、画面全体の明快な装飾的色面構成の組織に組みこまれている。日本画において近代的造形に取り組んだ作品として当時注目された。