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椅子による

概要

椅子による

油彩画

鬼頭鍋三郎  (1899-1982)

キトウ、ナベサブロウ

昭和22年/1947

油彩・キャンバス・額・1面

100.0×80.0

左下に署名

3回日展 東京都美術館 1947

鬼頭鍋三郎
Kito Nabesaburo
1899−1982

椅子による
Sitting in a chair

1947年
油彩・キャンヴァス
100×80em
東京国立近代美術館所蔵

愛知県に生まれる。1916年,市立名古屋商業学校を卒業し, 銀行に勤めるが,在学中よりはじめていた絵画制作に専念するため,1921年に退社して上京,はじめ岡田三郎助,次いで辻永に師事した。1924年,第5回帝展に〈騎兵調練図〉が初入選し,さらに1927年の第14回光風会展において光風会賞をうけた。以後,帝展及び戦後の日展,そして光風会に出品をつづけ,その指導的な位置にあって活躍した。また,1956年の第11回日展出品作〈アトリエにて〉で日本芸術院賞をうけ,1962年には日本芸術院会員となった。一方,こうした制作活動のかたわら,1968年から73年まで,愛知県立芸術大学にあって後進の指導にあたった。
この画家の作品を特色づけるのは,温和で優美な女性像であった。その初期においては,室内で仕事をする女性,あるいは椅子に腰かけ,自然なたたずまいを示す女性というように,日常のなかでとらえた女性像であったが,やがて戦後のバレリーナの連作をへて,晩年は,その様式化された姿態と衣裳の装飾実に魅せられ,舞妓を描きつづけた。
この〈椅子による〉は,大きく重厚な椅子に,やや斜めにゆったりと腰かけた女性をほぼ正面からとらえ,動きの少い安定した構図をとりながら,練達な描写と気品のある色彩で描かれている。暗緑色にまとめられた室内のなかで,モデルの女性のオレンジ色の着衣と白いスカートそしてテーブルの上に置かれたピンク色の帽子は,部屋にさしこむやわらかい外光によって,あざやかに照らしだされれ,静謐な画面の中にいろどりを添えている。このように,平明な作品ながら,通俗性におちいることなく,中期の秀作といえるであろう。


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