天慧星●命三郎(水滸伝豪傑の内)
概要
159 白髪一雄(1924− ) 天慧星命三郎(水滸伝豪傑の内) 1964年
兵庫県尼崎市生まれ。1948年京都市立絵画専門学校卒業。同校で学んだ日本画になじめず油彩に転向、しだいに抽象的な表現を試みるようになる。52年に村上三郎、田中敦子らと0(ゼロ)会を結成。55年に具体美術協会に参加、中心メンバーの一人となる。
終戦後、病床にあった時期に、20世紀絵画の流れを美術書を通じて学び直す中で、自らの方向性を情に基づく「熱い抽象」に見定めた白髪は、構図や遠近法などにとらわれない絵画の可能性を模索、ペインティングナイフや指、掌を使って画面に絵具をこすりつける作品を経て、足で描く試みへと至った。キャンバスを床に置き、画面上の大量の絵具の上を、天井から吊ったロープにつかまりながら滑走することによってできあがる画面は、全身を用いた身振りの軌跡そのものだが、それが作品として垂直に立てられるときに、肉体の行為を通じた精神性もまた立ち上がっている。