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責め場 1

概要

責め場 1

その他

横尾忠則  (1936-)

ヨコオ、タダノリ

昭和44年/1969

孔版・紙・1

91.3×67.7

左下に書込み、刷番号; 右下に署名

6回パリ青年ビエンナーレ展 パリ 1969

68
責め場
Bound and Taunted
1969年
孔版・紙(3点組)
各91.3×67.7cm
右下にそれぞれ署名:Yokoo, 左下にそれぞれ書込み:A一ap, B-ap, C-ap
1969年パリ青年ビエンナーレ展(版画部門大賞)
横尾の描く世界は、1960年代後半、モダンアートの機能美や幾何学的抽象美とは異なり、旭日のパターンやエロティックなテーマなどを扱い、むしろ大衆文化の卑俗さを強調し、色彩も原色を対比させた強烈なものであった。1970年以降は更に、日本の伝統的な図像や、仏教、ヒンドゥー教の図像を素材に東洋思想の神秘性を賞楊するものが主流となった。1960年代は激動の時代であり、その時代潮流の底にある日本の大衆の情念を汲み取って作品化しえた横尾は、正しく時代を表現しえたのである。
《責め場》は1960年代の横尾の版画芸術の代表作のひとつである。3点組の作品であるが、全体は同構図の色版の異なる6画面の併置により構成される。各1点は同じ輸郭の2図から成り、輸郭線を少しずらしながら版の積み重ねの制作工程を見せ、同時に各図が異なった効果を示すように色の版を各図別々に配置し、色彩の対比と明暗の逆転により6種のヴァリェーションを示している。
密室内で女を責めるというテーマは特異な限られた趣昧の領域に属すると言えようが、当時の映画や演劇でしばしば取上げられ、日本的な暗い情念のひとつの「記号」であった。日本髪に和服の女性の縛られた身体、露わにされた下半身は、噴出するエロスのエネルギーとそれと共犯関係にある禁止や抑制というゆがんだ情念の象徴と見ることができる。6つの反復するパターンはそれを型式化し、装飾化している。

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