鋳銅香炉
ちゅうどうこうろ
概要
四方に四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)の姿がある香炉。四神は天の四方の方角をつかさどる神として、東を青龍、西を白虎、南を朱雀、北を玄武に相当させたものである。しかし本資料の図柄の位置は東西南北の方角とは一致しておらず、時計回りに青龍→玄武→朱雀→白虎の順になっている。
・上部は直方体をしているが、下部は四角が丸く突き出しており、4本の足で立っている。
・上部直方体各面と、その下の三角部分には菱形文様が施されている。
・白虎の面には上部に2か所穴が開いている。また対面に当たる玄武の面の上部にも同様に穴があるが、1つが塞がった状態である。
・丸く突き出した四角を囲うように雷紋の帯があり、底面まで続いている。これらが交差する底面中央部に文字が刻まれており、作者の号「宗光」の陰刻銘がある。
≪付属品≫金森小三郎書「謹呈品目録」1960年(3-03-01-34「鋳銅三宝像」・3-03-01-35「鋳銅日蓮座像」と共通)寄贈者であり、作者の孫に当たる金森小三郎氏(7代)が書いた。寄贈する品名やその寸法、高岡市に祖父の作品を寄贈するに当たっての心境や詩などが書かれている。末尾に「昭和三十五年七月十五日 金森小三郎(印)」とある。
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【金森 小左衛門(かなもりこざえもん)】
金森家(釜屋)は代々小左衛門を襲名した高岡鋳物師。伝承では城端別院善徳寺(富山県南砺市)の「享保二十年(1735)卯十一日鋳物師藤原朝臣金森小左衛門少尉」の銘をもつ灯籠を鋳造したという。
4代(号は宗光)は灯籠・火鉢・瓶掛などに優れた作品を遺した名工と言われる。代表作は城端別院善徳寺灯籠1対〔本堂に向かって右は天保15年(1844)作・嘉永2年(1849)作〕。
5代(智宗)は上記「謹呈品目録」によると、「天保(1830~44年)・弘化(1844~48年)の城端に生まれ」、「明治四十年(1905)五月逝く」とある。
<参考文献>
養田実・定塚武敏責任編集『高岡銅器史』高岡銅器協同組合発行 桂書房 1988年(p345~346)
金森小三郎書「謹呈品目録」1960年
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