人(母と子)
概要
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森芳雄(1908−)
MORI,Yoshio
人(母と子)
People(Mother and Child)
1961年
油彩・キャンバス
162.5×130.5cm
第6回目本国際美術展(東京都美術館)
東京の生まれ。1926年東京美術学校の受験に失敗,28年,一九三○年協会洋画研究所に入り,中山巍(たかし)らの指導を受ける。同協会展のほか,二科展や独立美術協会展に出品したのち,31年から34年までパリに滞在し,海老原菩之助,浜口陽三,山口薫らと知り合う。日曜日にはルーヴルに通い,イタリアの初期ルネサンス絵画やフレスコ画などに心惹かれた。帰国後,39年から自由美術家協会展(同年会員)に出品し,戦後の64年に同会を退会,主体美術の結成に参加した。人物像,なかでも母子像をはじめとする群像は,戦前から森が好んで取り上げているテーマのひとつだが,この作品では,人間のコミュニケーションの祖型ともいうべき母と二人の子供のあいだの日常的やりとりの一駒が,この画家特有の清明な乾いた光と,古拙味のあるマチエールと,斜線を主体にした明確な骨格によって,まるで時が永遠に止まったかのような静けさのなかに凍結されている。