白地鉄絵鳥文壺
しろじてつえちょうもんつぼ
概要
阿蘇神社の大宮司職を代々務めた阿蘇氏の居館跡から出土した、白地鉄絵鳥文壺。壺内部に銅銭を入れて土坑に納めた後に、これを覆うように建物の基礎を構築していることから、礎石建物の地鎮具として用いられたとみられる。
白地の化粧土の上に鉄釉で窓を設け、鳥や草などの文様を大胆な筆致で描いた本品は、中国河北省磁県を中心に盛行した磁州窯系陶器において元時代以降の特徴をみせる。また、整った形態に透明釉の仕上がりもよい。我が国における中国産輸入陶磁器は、越州窯や龍泉窯などの江南産が知られるなかで、数少ない磁州窯系鉄絵壺の優品であり、伝世品以外の完形品は他に例をみない。さらに破損箇所を漆継ぎで丁寧に修復している点も興味深く、壺内面に残る銅銭の痕跡は、埋納時の様子を伝える。
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