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宮崎県百足塚古墳出土埴輪

みやざきけんむかでづかこふんしゅつどはにわ

概要

宮崎県百足塚古墳出土埴輪

みやざきけんむかでづかこふんしゅつどはにわ

土器・土製品類 / 九州

宮崎県

古墳時代後期

一括

宮崎県児湯郡新富町大字上富田
6345番地5

重文指定年月日:20250926
国宝指定年月日:
登録年月日:

新富町

国宝・重要文化財(美術品)

 九州地域では他に比肩しうるものがない、種類豊富かつ残りのよい形象埴輪の一括資料である。
 百足塚古墳は、史跡新田原古墳群の中の一基で、墳丘全長約82m、盾形の周溝と周堤を有する前方後円墳である。築造は、6世紀中頃、古墳時代後期の中頃と推定されている。
 特に注目すべきは、両肩から脇にかけて帯を襷掛けし、右手で上衣の裾をたくし上げ、自らの性器を露わにする唯一無二の女性全身像である。儀礼の場で踊る所作を表しているとみれば、記紀神話に登場するアメノウズメを想起させ興味深い。鍔付き帽を被り、甲と籠手を身に着けた下げ美豆良の男性埴輪も貴重である。両手を地に着けて跪く所作をしており、誰かに何かを言上しているのであろうか。また、全国で四例のみの確認に留まる太鼓形埴輪も珍しく、曲線状の線刻文様や赤彩が施され、皮を留めた鋲も表現されている。ほかにも、止まり木が表現された鶏形埴輪、首輪をつけた犬形埴輪、居館や倉庫を表現した家形埴輪などバラエティに富む。形象埴輪の多くは、特定を組み合わせて置くことによって、古墳の被葬者が生前に行った儀式や儀礼の場面を再現しているとみられている。百足塚古墳の埴輪たちも、その登場人物や舞台装置のひとつと考えられよう。
 なお、本埴輪の種類や組み合わせは、継体天皇陵と推定される大阪府今城塚古墳の埴輪群とよく似る。地理的に遠く離れた九州南部地域にも、大和王権の影響力が及んでいたことがみてとれる。

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