絵師草紙
えしのそうし
概要
ある貧しい絵師が天皇から領地を与えられ、いったんは驚喜したが、結局年貢は手に入らず、将来を悲観した絵師は息子を出家させることにし、この間の顚末を文章と絵であらわしたと称する絵巻で、後醍醐天皇(1288~1339)親政期の社会の細部に光をあてたと解しうる内容となっている。絵は堅実な構成と正確な描線、表情豊かで滑稽味のある人物描写と貧しさを際立たせる情景描写に優れる一方、主人公たる絵師の描写には巧拙があり、そこにもこの絵巻を描いた絵師の立場が反映しているとみられる。特色ある中世絵巻として貴重である。
文化庁 〒602-8959 京都府京都市上京区下長者町通新町西入藪之内町85番4 メール:online@mext.go.jp
共同運営NII Powered by GETA (C) The Agency for Cultural Affairs