奈良県飛鳥池遺跡出土品
ならけんあすかいけしゅつどひん
概要
我が国最古の鋳造貨幣である富本銭をはじめとする、国家的総合工房の操業内容を示す重要な一括資料。
飛鳥池遺跡は、奈良県明日香村飛鳥の谷あいに立地する7世紀後半の工房遺跡であり、遺跡の北西には飛鳥寺が位置する。
特に注目すべきは、富本銭である。未製品や鋳造資料から、富本銭こそが最古の鋳造貨幣であることが明らかとなり、和同開珎を最古とする貨幣の歴史を塗り替える一大発見となった。さらには、鋳造時の鋳棹や鋳型、坩堝、研磨台は、富本銭の製作技術やその生産工程を如実に物語る。
また、ガラス製品、金属製品、漆製品、施釉陶器や瓦などの各種製品からは、大規模で多彩な操業内容が見て取れる。木簡は、原料や宮廷や寺院に物資を供給した内容、操業時期をあらわす「丁丑年」、「丁亥年」といった紀年、国家直属の工房であったことを示す皇子や宮の名など、本工房の実態を裏付ける上で欠かせない。また、天皇号の開始を議論する上で注目される「天皇」と記された木簡の存在も見逃せない。飛鳥の宮廷や古代国家を物資面で支えた一大官営工房の操業体系と技術を鮮明に伝える重要な考古資料である。
文化庁 〒602-8959 京都府京都市上京区下長者町通新町西入藪之内町85番4 メール:online@mext.go.jp
共同運営NII Powered by GETA (C) The Agency for Cultural Affairs