静岡県伊場遺跡群出土品
しずおかけんいばいせきぐんしゅつどひん
概要
天竜川下流、浜松南部平野の北東部に立地する、弥生時代後期の環濠集落である伊場遺跡を中心とした、大規模遺跡群からの出土品である。
特に注目されるのが、複雑・精緻に文様が彫刻され、漆塗りにより赤彩・黒彩を施した木甲である。その鮮やかな造形と装飾性は、漆工・木工の高い技術力を如実に示し、他に例を見ない。
土器群は、伊場式と呼ばれる西遠江地域の標式である。その中でも、木器を模倣したと思わせる装飾付高坏や鰭状突起が付いた壺、家形などの特殊な器形の土器は特色を示している。他にも、近畿地方などの周辺地域から影響を受けた土器、銅鐸・鏡を模したと考えられる土製品、生業や生産活動、葬送行為にともなう出土品が多岐に亘っている。
これらは、弥生時代の祭祀や生業、地域間の交易・交流、葬送の在り方をよく表している。また、西日本的様相を示す各種製品の存在は、弥生文化における西日本からの東漸の在り方を考究する上で、欠かせない貴重な一括である。
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