福岡県西新町遺跡出土品
ふくおかけんにししんまちいせきしゅつどひん
概要
西新町遺跡は、博多湾に面した砂丘上に広がる集落遺跡である。遺跡の最盛期である古墳時代前期を中心とした一括で、とくに朝鮮半島に由来をもつ土器やガラス小玉および鋳型、貨泉などの朝鮮半島や中国大陸との交流を示す資料が注目される。
朝鮮半島系土器は、両耳付平底壺・蓋、二重口縁壺、平底鉢、平底多孔式の甑など多種多様で、朝鮮半島南西部、現在の全羅道地域由来の土器が多数を占める。なかでも平底鉢と甑は、竈調理に用いられるうつわの組み合わせであり、渡来人の居住や彼の地の炊飯形態の受容を明らかにする。土器が示す交流は日本列島各地にもおよぶ。畿内や山陰、瀬戸内地域、九州内の各地域からの土器や、これらを現地で模倣し作った土器は、技術の伝播だけではなく、人の往来や居住を考える上で示唆に富む。玉類の生産、飯蛸壺や石錘などの漁労具も豊富で、当地が対外交易ならびに列島内交易の一大拠点であったことをうかがわせるとともに、交易を支え、当地に暮らした人々の生業を鮮明に伝える。
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