セイウチ(海象)剥製
せいうち(せいうち)はくせい
概要
このセイウチは、明治10年(1877)に亀田郡椴法華村(現函館市椴法華地区)の沖に姿を現したものを漁師が銛で突いて捕獲したものである。その後剥製にされ、開拓使函館仮博物場(現旧函館博物館1号)に陳列されたものが、今日に引き継がれている。北海道立文書館所蔵の「北海道諸物品往復書及諸省懸通信書類」の中でセイウチの精密画や捕獲した様子、捕獲したときに使った道具、剥製にする際の苦労話などが書き記されている。セイウチはアシカ科、セイウチ科、アザラシ科からなる鰭脚類(ききゃくるい)の一種であるが、セイウチ科の唯一の種である。よく目立つ牙が他の鰭脚類とは違うことを示している。この牙は、身を守るためと、餌を掘り当てるためである。主食は二枚貝類などの軟体動物で、牙で海底の砂などを掘り起こして食べるほか甲殻類、海草類なども食べるといわれる。セイウチは家族的集団生活を送ることが知られている。妊娠期間はほぼ一年のほどで、一腹に1子を産み、2歳頃まで母親と行動を共にすることが知られている。
今日では珍しいことだが、セイウチが時々泳いでいる姿が目撃されたといわれ、明治初期に津軽海峡を北緯40度近海まで南下したとの記録がある。さらに、昭和12年(1937)3月の八戸市白銀三島における捕獲記録もある。セイウチはもっぱら北極を取り巻く氷原の端で生息しているが、冬季には南下し、ハドソン湾やベーリング海にはいる。当時の津軽海峡はそれだけ現在より水温が低かったと考えられている。
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