蕗下コロポックル人の図
ふきのしたころぽっくるじんのず
概要
松浦武四郎(1818~1888)は伊勢国一志郡須川村(現在の三重県松阪市小野江町)に生まれる。幼少から各地を巡り、諸国遊歴を志すようになる。全国の名跡をくまなく歩き、広く文人たちと交流を持つ。弘化2年(1845)に初めて蝦夷地に渡り、以後蝦夷地の探検調査を行い、旅日誌や地図など膨大な記録を残している。弘化2年(1869)に開拓判官に任用され、北海道名、国郡名の選定を行い、「北海道」の名付け親として知られる。武四郎自身、本図の款記にもある「北海道人」の号を用いている。
コロポックルは、アイヌの伝説に登場する小人で一般に「蕗の葉の下の人」といわれる。伝説によれば、コロポックルは蕗の葉で屋根を葺いた竪穴に住む、敏捷で漁猟の技術にすぐれた原住民だという。情に厚く、自分たちが獲ったものをアイヌに分け与えるが、姿を見せることなくひそかに品々だけが置かれている。ある日、アイヌの若者が待ち伏せし、一目姿を見ようと手をつかんだところ、怒ったコロポックルは二度と現れることはなかったという。
この作品は武四郎が伝説を聞き、コロポックルの姿を想像して描いたものといわれる。武四郎の日誌には地形や道先案内のアイヌの挿図があるが、蕗の下からこちらを見つめる人物は挿絵のアイヌに髪型や服装がよく似ている。余技的に描いた力の抜けた柔らかな墨線が親しみやすく、味わい深い作品となっている。
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